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簡単にできる!美味しい燻製づくり

燻製(スモーク)の基本は、木片を熱して出た煙を食品にまとわせるというもの。食品の保存性を高めるために生まれた燻製は、今では風味や食感を楽しむ燻製になりました。燻製器や燻製材を使う事で、煙の量の調節や火加減も簡単になり、燻製はどんどん身近なものになっています。

家庭の庭先でも「簡単にできる」燻製、食材の美味しさを存分に引き出す「じっくりつくる」燻製、燻製のプロセスをもっと楽しむための「本格的な」燻製。自分のスタイルの燻製づくりを楽しむための基礎知識やノウハウをご紹介します。

目次

燻製の種類

燻製(くんせい)は、食材を燻煙(くんえん)することで保存性を高めると共に、特有の風味を付加した保存食またその調理法のことで調理法はスモーク (smoke) とも言います。おつまみとしても大人気です。

主な燻煙法として加工温度の高いものより熱燻法、温燻法、冷燻法の3つがあります。なかでも熱燻は短時間で燻煙できるのでアウトドアに適した調理方法です。煙にかける時間と温度によって異なる、3つの燻製法をご紹介します。

熱燻法(ねっくんほう)

熱燻でつくる燻製メニュー

80℃から140℃の高温で短時間(10~60分程度)燻煙をかける燻製法です。温度管理が容易なので、燻製づくりが初めての方でも簡単にできます。食材が加熱調理されるため手軽に出来る簡易燻煙法ともいえます。

塩漬けや乾燥時間が短いため、保存には向きませんが、キャンプで燻製したいときにはおすすめの方法です。できたての美味しさとあぶって焼いたような口当たりが楽しめます。例えば、牡蠣(カキ)、スモークチキン、スモークステーキなどがおすすめです。

温燻法(おんくんほう)

温燻でつくる燻製メニュー

最も一般的な燻煙法で30~80℃ほどで燻煙をかける方法です。燻煙時間は数時間から1日程度、一般に燻製という場合はこの温燻を指す事が多いです。

完成した燻製の水分量が全体の50%程度とやや高めのため、長期間の保存には向きませんが口当たりがやわらかく、塩分も少なめで味はかなり期待できます。

外気温の影響もほとんどなく、比較的短時間でつくれるので、温燻法を使える食材は幅広く、なかでもソーセージ、ベーコンスモークチーズ、たくあんなどがおすすめです。

長時間比較的高温でいぶす為に水分が減少し、本来の保存食という意味での燻製ができます。

冷燻法(れいくんほう)

15~30℃ほどの低温で長時間燻煙をかける方法です。完成した燻製の水分量が全体の40%程度になるので長時間の保存が可能です。歯ごたえは硬く、噛むほどに旨味が出る最も燻製らしい燻製ができあがります。

きちんとした下ごしらえと外気温との兼ね合いを考えた温度管理が必要なので、燻製づくりに少し慣れてからトライしてみてください。冷燻の代表的なメニューとしては、スモークサーモンがあげられます。

燻製づくりの基本手順

これだけは知っておきたい!燻製づくりの基本

難しいと思える燻製づくりも、基本の工程さえ理解していれば、いろいろと応用して自分だけのオリジナル燻製づくりが楽しめます。ニジマスの燻製づくりを例に、燻製の基本手順とそのポイントをマスターしましょう。

下ごしらえ

きちんとした下ごしらえが美味しい燻製の秘訣

腐敗を抑えることと燻製作業をやりやすくすることが目的。肉類は血管やスジを取り除き、燻製しやすい形に整えます。魚類は内蔵やエラを取り除き、血合いの部分も丹念にこそぎ落としましょう。食材(素材)はできるだけ新鮮なものを選び衛生管理に注意してください。

塩漬け

ニジマスをソミュール液につける

味付けと殺菌が目的。塩漬けの方法には大きく分けて、直接塩をすり込む「ふり塩法」と、ソミュール液に漬け込む「たて塩法」があります。ソミュール液やピックル液に一定時間漬け込む方法は、材料が空気に触れないので脂肪分が酸化しにくく、また、溶液の塩分濃度が安定しているんので、塩を均等にしみ込ませることができます。

塩抜き

ニジマスに直接流水をあてないように注意

材料の余分な塩分を取り除き、生臭さや腐敗菌などの雑菌を洗い流すことが目的。流水で洗うのが基本です。塩抜き加減は、材料のひとかけらを取って、電子レンジにかけたり、フライパンで焼いて味見をしてみてくだい。保存性の高さが必要な時は濃い目の塩味に、保存性を重視しないときは薄めの塩味になるように調整します。

乾燥

風乾をする

材料の水分を減らし保存性を高めることと、燻煙の際に煙が表面に付着しやすいようにして仕上がりの色をきれいにすることが目的。乾燥には、風乾と、スモーカーで行う温熱乾燥の二つがありますが、風乾は直射日光を避け、ほこりの少ない戸外で行うのが基本です。外気温が高い季節は腐敗を避けるため、夜間に風乾したり、冷蔵庫で乾燥させると良いでしょう。

燻煙

スモーカーにニジマスを吊るして燻煙開始

煙に含まれる成分による腐敗・殺菌効果と、材料から燻製独特の香りと旨味を引き出すことが目的。熱燻、温燻、冷燻の三つの方法や、食材や燻製の場所や時間に合わせて行いますが、いずれの方法でも温度の管理が大切です。温度計でチェックし、燻煙材の量、熱源の大小などで温度を調節しましょう。燻煙材には木材を粉砕して棒状に固めたスモーキングチップと木材を粉砕して棒状に固めたスモーキングウッド(ブロッグ)があり、つくり方に応じて使い分けることができます。

熟成

燻香豊かなニジマスの燻製は格別な美味しさ

燻煙のきつさを和らげ、味をなじませ、深みを与えるのが目的。風通しのよい日陰で寝かせたり、冷蔵庫で寝かせます。できたての美味しさを楽しむ熱燻のほどんどの場合を除き、熟成を行った方が格段に美味しくなります。熟成の後、そのまま食べるか、冷して食べるか、それとも食べる直前に加熱して熱々をいただくかも材料やお好みでいろいろと試してみましょう。

スモーカー(燻製器)と燻煙材の選び方

燻製にする材料や燻煙法、それに自分自身のこだわりによって、それに適したスモーカー(燻煙器)のタイプが異なります。
また、燻製独特の色と味をつける燻煙材にもいろいろな種類があります。それぞれの特徴を理解して、上手にスモーカーや燻製材を選びましょう。ここではスモーカ(燻製器)の選び方と、燻製独特の色と味をつける燻煙材についてご紹介します。

スモーカー(燻製器)の種類と選び方

スモーカーの種類

燻製法には、熱燻、温燻、冷燻の三つがありますが、スモーカーの種類では、大きさがこの三つの方法に関わってきます。たとえば長時間にわたり30℃以下で行う冷燻の場合は、熱源と材料の距離が保てる大型スモーカーが必要です。

熱源と材料の距離が近い小型スモーカーは熱燻専用、温燻には中型以上のスモーカーが適切です。また、段ボール紙製の組み立て式スモーカーは持ち運びが簡単なので、キャンプなどのアウトドアレジャーには特におすすめです。

燻煙材 ~形状の種類と選び方~

燻煙材の主な形状には、スモーキングチップとスモーキングウッド(ブロック)の二つがあります。

スモーキングチップ

スモーキングチップ
スモーキングチップの燻煙材

チップ状になった木片。煙を出すには常にガスバーナーコンロ等の熱源が必要になります。

熱源があるため温度管理が難しいのですがコストパフォーマンスが良く、温度管理の必要のない熱燻には便利です。

スモーキングウッド(ブロック)

スモーキングウッド(ブロック)
スモーキングブロックの燻煙材

木の粉末を棒のように押し固めた線香状の燻煙材。一度着火すると、一定時間煙が出続けます。スモーキングウッドは約5時間20分、スモーキングブロックは約2時間10分、煙を出し続けます。

熱源を必要とせず、手軽に使えるので初心者にオススメ。ウッドだけでは温度が上がらないため食材に熱を通すには不向き。冷燻に使うと便利です。

スモーキングチップは、火にかけることで煙をおこすので、スモーカー内部の温度が上昇するため熱燻に向いています。スモーキングウッド(ブロック)は熱源を必要とせず、着火剤のついている部分に一度着火すれば一定時間煙を出し続けるので温燻や冷燻に向いています。

燻製時間によって、ウッドを半分にして使ったり、2本を組み合わせたり、チップとウッドを使い分けることができます。また、スモーキングウッドより小型のスモーキングブロックという燻煙材もあるので、燻煙時間によってウッドとブロックを使い分けることができます。

スモーキングウッド(ブロック)の使い方

使用するスモーカーの大きさや燻煙時間に合わせて、スモーキングウッドを中央の切りこみから二つに割ります。

着火剤のついた面にライターやガストーチなどで着火し、着火面の全体に火がついたことを確認します。

金属容器やスモーカーの底板の上などに置き、着火剤の炎と臭いが出なくなるまで、約8分間待ちます。

スモーカー(金属容器の場合)にセットします。

燻煙材 ~木材の種類と選び方~

燻製独特の色と味をつける木材の種類についてご紹介します。

一般的に燻製に向いてるのは、樹脂が少なく、少しずつ燃焼していく広葉樹の固い木です。最初は単独で使用して特徴を理解したら、種類の異なるものを組み合わせて、自分だけのオリジナルで燻製をつくることも楽しむポイントです。

燻煙材の特徴

種類説明色つき香りと特徴適した食材
サクラサクラの木。ソメイヨシノではなくヤマザクラが使われている。普通香りが強いので、くせのある香りの材料も食べやすくなる。ほかの燻煙材との相性がよいのでブレンドにも向いている。マトンやラムなどのい羊肉、魚介類
ブナブナの木。日本の広葉樹の中で最も多い樹木。濃いすっきりした香り。タンニン分が強く、色つきは速い。燻煙時間が長いと渋みが強くなるので熱燻、温燻の比較的短時間の燻製向き。魚介類
ナラナラの木。日本全国に分布するミズナラの木のことで、いわゆるドングリのなる木。濃いくせのない香りで、独特の渋味があり、タンニン分が強く、色つきは速い。魚介類
リンゴリンゴの木。バラ科の落葉樹で日本ではリンゴの野生種はほとんどない。淡い果樹独特の甘く柔らかい香りで、マイルドな燻製にしたいときや淡泊な味の材料に向いている。鶏肉、白身魚、チーズ、豆腐、練り物
クルミクルミの木。本グルミが使われる。濃い燻煙材のなかでもかなり固く脂肪分が多いので、持ちがよく煙も多い。独特の渋味で人気が高い。肉類、魚介類、チーズ
ヒッコリーヒッコリーの木。北アメリカ原産のクルミ科の落葉樹。日本でも北海道、東北地方で植えらえている。普通欧米では最も一般的な燻煙材で、香りが強い。肉類、魚介類、特にベーコンやハム、サーモン
メイプルカエデの木。北アメリカ原産の落葉樹。成長すると高さ30mを越える。固い樹木で、樹液からメイプルシロップがつくれる。淡い甘い香りが特徴。チーズなど
ミックスサクラ、ブナ、ナラ、カエデのミックス。普通各燻煙材をブレンドし、くせがなく、使いやすいタイプに仕上げてあります。肉類、魚介類、オールマイティ

スモーカー(燻製器)の使い方

レギュラータイプ(中型)のスモーカーを例に、燻煙の基本手順と注意事項をご案内します。

スモーキングブロック、スモーキングウッドを使用する場合

熱源として、スモーキングブロックやスモーキングウッドを使って燻煙をする場合の手順です。

  1. スモーカーを平らで安定する場所に設置して、スモーキングブロックまたはスモーキングウッドをチップ容器の中央に置き、着火します。
  2. 本体をセットして、調理素材を入れ(網にのせる、またはフックで吊るす。)ふたをして燻煙します。網にのせる場合は、網に食用油を塗っておくと良いです。
  3. 燻煙が終わりましたら燻製を取り出してください。

スモーキングブロックの着火方法

スモーキングブロックの先端面全体に着火してください。着火後、風をおくり炎が先端面全体にしっかりまわるようにしてください。

先端面全体に着火したら、底板に置いたチップ容器に図のように立てて置いてください。容器との接地面が少ない方が燃焼しやすくなります。

炎がでなくなったら、スモーカーの中へ入れてください。使用状況により途中で消える場合があります。その際は先端を再度クイックチャッカ―で煙が出るまで着火してください。

カセットガスコンロ や ガスバーナーを使用する場合

熱源としてカセットコンロやガスバーナーなどを使用し、燻煙材としてスモーキングチップを使う場合の手順です。

  1. ガスコンロを安定する場所に設置してください。スモーカーがガスコンロの容器カバーを覆わないように十分注意してください。ガス容器が加熱して爆発・火災・火傷の怖れがあります。
  2. 底板を熱源の上に置いてください。
  3. お好みのスモークチップを、スモーカーのチップ容器に入れ、底板の中央部に置いてください。
  4. 本体を底板にのせてセットしてください。
  5. 網を本体内側の凸部にのせてセットし、調理素材をのせて(またはフックで吊り下げて)ください。のせる場合は網に食用油を塗っておくと良いです。
  6. コンロ等の熱源を点火して、チップから燻煙が出るまで燃焼させてください。(チップが燃え上がらないように十分注意してください。)
  7. ふたをしてください。時々蓋を開けて、チップから燻煙が出ていることを確認してください。量が少ないようでしたら火を止めてから本体をゆっくり持ち上げて底板から本体を外してチップ容器の上にチップを追加してください。
  8. 燻煙が終わったら火を止めて燻製を取り出してください。
アドバイス – 立ち消え防止のため –

スモークチップやブロック、ウッドが燃焼するためには酸素が必要です。燃焼が悪い場合はふたをスライドさせたり、本体とふたの間に割り箸を入れる等して調節してください。

注意事項

ふた・底板の開閉の際はゆっくりと行い、火傷等に十分注意して厚手のミトン等を着用して、素手での操作は絶対にしないでください。燻製器本体やふたを持ち上げる際は必ずハンドルを持ってください。

上手な乾燥が美味しさの秘訣

美味しい燻製をつくるために大切なプロセスである「乾燥」。
乾燥の目的は、保存性を高めるとともに、表面の水分を乾燥させて、材料に煙をつきやすくしたり、余分な水分で身崩れを起こしたりしないようにすることにあり、燻製の仕上がり色をきれいにし、歯ごたえや美味しさにも大きな効果をもたらします。
乾燥にはスモーカーで行う温熱乾燥もありますが、ここでは、風乾、あるいは冷蔵庫内での上手な乾燥のポイントを紹介します。

家庭用品や干しカゴを使うと便利

干しカゴ使用例

風乾は、気温が0℃以下の場合を除き、寒い季節なら日陰で外気にさらすのが一般的です。

ロープを張って材料を干すには広いスペースが必要なので、ベランダのような限られた場所で風乾するときには、ピンチハンガーのついた洗濯物干しなどを利用すればスペースもとらず、雨が降ってきてもサッと取り込めるので便利です。

さらに、ハエなどの虫、カラスやネコを避けるためには、干しカゴや一夜干し用の網を使うのがおすすめです。

暑い季節には冷蔵庫を使うと便利

冷蔵庫使用例

暑い季節や、雨が降っているときなどの乾燥に役立つのが冷蔵庫。
材料を網やザルに並べるかバットにキッチンペーパーを敷いて、材料から出た水分が戻らないようにし、ラップをかけずに、あるいはキッチンペーパーをかぶせて冷蔵庫に入れます。

乾燥時間は、外気での風乾に比べると3~4倍の時間がかかりますが、冷蔵庫内は温度や湿度が低いため、材料が傷む心配がありません。

燻製づくりの基本を学べる動画

こちらの動画では、燻製づくりの基本手順、スモークチキン、ペッパースモークチーズ、マグロのカルパッチョ、ベーコンの燻製レシピと作り方を動画で学べます。【13分38秒】(※ 音声をONにしてご覧ください。)

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この記事を書いた人

キャプテンスタッグがお届けする「Outdoore Life - アウトドアお役立ち情報」の編集部です。
アウトドア・キャンプに関するハウツーやレシピをはじめ、おすすめのアウトドアギアなど、皆様がアウトドアライフを楽しむために役に立つ情報を発信していきます。

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